轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

「いいんですか、そんなことなすって?」

「よくも悪くも、人間の真実は押し潰せませんよ。」

と、俊亮も真顔になった。いくらか熱気をおびた眼が、じっと先生を見かえしている。

「しかし、当局の神経の尖り方は想像以上ですよ。」

「よくわかっています。しかし、そう何もかも遠慮するには及びますまい。先生が白鳥会員と顔も合わせないでこの土地をお去りになるんでは、もうそれだけで、人間としての完全な敗北ですからね。」

朝倉先生は眼をつぶり、しばらく沈默がつづいた。すると朝倉夫人がいかにも心配そうに、

「でも、万一にも、そのために、生徒さんたちの中にご迷惑をなさる方がありましては。……主人はそれを心配いたしているのでございますが。」

「あるいは、一人ぐらいは迷惑するものがあるかも知れません。しかし、あるとすれば、それはおそらく次郎でしょう。」

朝倉先生は眼を見ひらいて、俊亮の顔を食い入るように見つめた。俊亮はその眼をさけるようにしながら、

「次郎は、しかし、そうなっても、決してうろたえはしないだろうと思います。」

またしばらく沈默がつづいた。大沢と恭一と俊三とが、朝倉先生と俊亮の顔をしきりに見くらべている。