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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
「これが父さんの宿題に対する僕の解答です。」
大沢はじめ、恭一も、俊三も、道江も、ぽかんとして次郎の顔を見た。俊亮は、縁の柱によりかかり、かなり永いこと眼をつぶっていたが、やがて眼をひらくと言った。
「満点以上だ。心の持方としてはそれ以上の答案はあるまいね。父さんも、大たい似たようなことを考えてはいたが、どこかにまだ滓みたようなものがこびりついていたようだ。私の立場からの対立観で、相手を向こうにまわすという気が少しでも残っていると、どうも満点はとれないものだね。」
それからまたしばらく眼をとじたあと、
「しかし、大事なのは実際の場合だよ。実際の場合に心が乱れては、女神どころか、がらくた道具も出来はしないからね。その点では、或いは父さんの方が次郎よりうわ手だかも知れんぞ。はっはっはっ。……まあ、しかし、これはその場になってみんとわからん。どうせ父さんも学校には顔を出すことになるだろうが、その時がほんとうの試験だ。」
次郎は、もうその時には、眼をふせて、じっと縁板の一点を見つめていた。
「俊亮も、何か学校で試験があるのかい。」
お祖母さんが、けげんそうな顔をして、ひょっくりたずねた。