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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
」
「いや、あいつは大丈夫だ。平尾のやり方に憤慨して僕にその話をしたぐらいだからね。」
「そうか。しかし総務の二人がそんなふうに対立しているとすると、今日の会議はどうなるんだい。やるにはやるだろうね。」
「そりゃあ、やるとも。もう田上が各部につたえてまわっているはずだ。」
「しかし、総務として、どんなふうに提案するつもりなんだろう。」
「むろん、総務案なんてものはないだろう。田上の話では、白紙でのぞむよりほかないと言っていたよ。」
次郎はちょっと考えていたが、
「しかし、会議を開きさえすれば何とかなるね。」
「そりゃなるとも。平尾なんか問題でないさ。梅本も、平尾ぐらいおれに任しとけって、そう言っていたよ。……ところで、どうしたい、血書は? もう書いたんか。」
「うむ、書いた。」
次郎は笑いながら、紙を巻きつけた左手のくすり指を新賀のまえにつき出した。新賀は、
「ほう、その指をきるんだね。」
と、感心したように見ていたが、
「書いたの、もって来なかったんか。」
「持って来たよ。」
「見せろ。」
次郎は内かくしから血書を出して新賀にわたした。新賀はそれを受取ると食い入るようにそれに見入っていたが最後に大きなため息をつきながら、それを次郎に返そうとした。