轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

すると、橋のたもとの大きな松の木かげに、帽子をわしづかみにして向こうむきに立っている一人の中学生が眼にとまった。馬田である。制服のボタンをすっかりはずして胸をはだけているらしく、襟が首の両がわにはね出し、腰にあてた左手のうしろに裾がたくれあがっている。

次郎は思わず立ちどまった。馬田と言葉をかわすのが、きょうはとくべついやな気がするのだった。しかし、彼はかくれる気にはなれなかった。かくれたりするのは、相手が馬田であるだけに、よけい卑屈なように思えたのである。

彼は立ちどまったまま、しばらくじっと馬田のうしろ姿を見つめていた。すると馬田は、わしづかみにしていた帽子をふりあげて、つづけざまに二三度、つよく自分の股をなぐりつけた。それは、彼が何かやりそこないをしたり、しゃくにさわったりする時に、よくやるくせなのである。

次郎は、ふしぎにも思い、いくらか滑稽にも感じながら、歩き出そうとした。が、そのとき馬田のほかにもう一人、彼の眼にうつった人影があった。それは、土手のずっと向こうの方を小走りに走って行く女学生の姿であった。その制服姿は、もううしろから見たのではちょっと誰だか判断がつきかねるほど遠ざかっていたが、次郎にはそれが道江だということが一目でわかった。