轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんだちどり
死んだ千鳥
吉川 英治
「婦人倶楽部 臨時増刊」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,539 字 · 32 页
いや僻みではない、当然そう思われているに違いない。
(わけても彼の――大牟田公平が)
大牟田公平の事を考え出すと、彼女は昼間の町中でも、思わず背を振向いて、何かに狙けられているような眸をした。
賛五郎がなければ、当然自分は、公平の妻となっていた体である。
大牟田家では、自分と公平との結婚を、藩庁まで届け出してあって、折を待っていたのであったが、その間に、恋はあらぬ人と結ばれてしまった。
こういう場合――藩の法規は、当然、自由な恋愛から生れる結婚などは認めない。風評が立つと共に、
(御勘気。――放逐)
の厳命が、恋の凱歌と取り代えに、賛五郎の身に降った。
(彼の公平が、あの儘黙って、国許で他の妻を持っているかしら? ……)
裏切った男の恐い顔つきが、絶えず後から来る気がして、墨江は髪の根が寒くなる。
――今も。
酒屋や青物屋へ届け物を吩咐けておいて、家の方へ戻って来ると、露地の曲がり角に、一人の武士が佇んでいる。
遠くから姿を待って居たように、その男の編笠は、墨江の方を正視していた。
『……あっ?』
気のせいか、墨江には、その編笠の背恰好が、今もふと、胸の中で嫌な気持に思い出されていた大牟田公平そっくりに見えた。