轻松读懂日语经典作品
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しんだちどり
死んだ千鳥
吉川 英治
「婦人倶楽部 臨時増刊」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,539 字 · 32 页
『でも……毎日こうして居らっしっては』
『もう、諦めている! 何も欝々していないつもりだが』
『諦めるには早うござります。あなたもまだ三十台、わたくしもやっと二十六。お互いに、これからではございませぬか』
『年の事じゃない。今度の通し矢の話だわ』
『それも、お金さえ工面がつけば、いつでも上洛れる事ではございませぬか』
『いつでも? 馬鹿な。御一同の出立はもう明後日。それまでに支度が調わねば、面目ないが、落伍するほかはない』
『ですから、その明後日までに』
『たわ言も、よい程にせいっ。その明後日までに金が調う位なら、こうして、髀肉の嘆を洩らしながら、閉じ籠って居りはしない』
『坐っていて、お金のできる気遣いはございませぬ』
『まだ云うかっ。では、外を歩いていたら金ができるか』
『一心になって、何ぞ、無い考えでも出そうと思えば』
『世間はそんな物じゃない。――墨江』
賛五郎は膝を向き代えて、
『そういうお前は、言葉の裡で、良人のおれが、こうして無策な顔しているのを冷笑っているのであろうが』
『ま、そんな皮肉にお取りあそばして』
『いいや、おれの身になれば、おまえの言葉も、耳に痛い木枯らしのように辛く聞える。