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あぶらじごく
油地獄
斎藤 緑雨
「国会新聞」1891(明治24)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,624 字 · 69 页
十二
時、いつぞや色男の秘訣を買おうとして、余儀ない羽目に買って来た三世相解が手に触り、もしやこれにと思って引出して見ると、案の如く生年生月の吉凶がことごとく示してある、小歌が火と云ったのを当てに、陰陽五行の何とかいう条下を繰るに、木生火、火生土、これが相生だ、水尅火、火尅金、これが相尅だ、自分の性を知る方法は教えてないが、たゞ女火という所を詮索するに、男が金では貧に暮らす、水では睦じからず、火では衣食足らず、どうか金でなく水でなく火でないように、そして福徳円満とあるこの土性で自分が居たい心持がしきりに起り、覚えて来たばかりの縁結びというのを行って見ると、どうしても自分と小歌とが結ばらない、そんなはずはないがと幾度遣り直しても離れてしまう、いよ/\遣ればいよ/\結ばらぬので、その果は無理に手を添えるようにして結んで、それで三分ばかり安心して、わずかに眠ることが出来た。
十二
けれどまた熟く考えると、春泉の婢と小歌とが話合って居た始終の詞に、あれだとかそれだとか符牒のようなことのあったのが、なお幾分の疑いを胸に遺して、かつて耳に挾んだ