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あぶらじごく

油地獄

斎藤 緑雨

「国会新聞」1891(明治24)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,624 字 · 69 页

青空文庫

事、結んだ綯に目賀田とあるを悦んだ事、御新造さまと呼ばれて莞爾あいよと笑った事、それやこれや小歌の我れに対する誠が一通りでないようで、かつまたあの優い小歌に、男の二人も三人もあろうとは自分に較べてどうしても信じられなく成って、腸はまたたちまち氷点に下降だる、ことに幾度となく出会った小歌の挙動に確められなかったことをたゞ一夕の花次の蔭口に決断してしまうことが自分ながら、如何にも不公平の処置のように思われて、熱えたり冷めたり冷めたり熱えたり、どちらが何うとも突詰めかねて、自分で自分を武者苦者と掻むしるように苦ませた揚句が、とにかくもう一度小歌に逢った上でと、弱い決心をわずかに固めて、すぐ出向うとして気が付いて見ると、小歌に与える祝儀だけの物も、もう財嚢には残って居なかった。

国元の父と母とへ交る/″\あてた無心も、初めは短い文言で足りて、そして金は目算より多く寄越されたが、度重るほど文言は長くなって、そして金は目算より段々少なくなる。この上は仮設えるべき口実の種も尽て居たが、さればと云って小歌に逢わずには居られず、つるんだ