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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
(扉は開かない、決して開かない!)
と、そう信じておりながら、そういうことを知らないで、民弥が一生懸命さがしている、それを絶望させまいとして、厭々ながら探していると、そういったような探し方であった。
どこにも扉をあけるカラクリはなかった。
民弥も絶望して突っ立ってしまった。
「これはこういう扉なのですよ」
と、梶子は弱々しい声で云った。
「外からはあのようにして開けられるのです。で、この部屋へはいった人は、扉と岩の縁との間へ、かい物をしなければいけないのです。かい物をかって扉をささえて、閉ざされないようにして置くのです。……何んてわたしたちは馬鹿だったんでしょう。……扉のあいた嬉しさに、前後を忘れて飛び込んでしまって、そういう処置をとらなかったとは。……いいえ妾がわるかったのです。……妾のような商売の者こそ、そういうことには常日頃から、注意しなければならなかったのに。……」
呼吸がだんだん苦しくなって来た。
この洞窟のあるところに、こもっているという毒素を持った空気、それがだんだん二人の呼吸を、侵して来たのかもしれなかった。
呼吸がだんだん苦しくなって来た。