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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页

青空文庫

「わたくしは梶子と申すもの、紀州藩士の方々と一緒に、いつぞや青塚の郷を攻め、明暦義党の同志ばらと、戦ったものにござります。……ゆえあってここの洞窟内へ、立ち入りましてございますが、意外にも義党の同志の中の、鵜の丸兵庫と五十嵐右内と、松浦民弥とに逢いました。……で、それらの連中と、洞内の迷路を辿り辿り、ようやく一つの口へ出ましたところ、そこに霜降小平様が、大勢とご一緒におられまして、忽ち斬り合いとなりましたが、義党の三人は死に物狂い、それに揃っていずれもが腕利き、さすがの小平様の同勢も、あしらいかねたよう見受けましたれば、わたくし小平様のご依頼を受け、皆様方にご加勢願おうと……」

「大変だ!」

「あっちの口へ出たか!」

「梶子殿なら我らも顔見知り……青塚郷攻めのあの際には、われらも一緒でありましたよ。……今回もまたいろいろ配慮、ありがとうござる! ありがとうござる!」

「さあ行けさあ行け加勢に行け!」

「菊女はどうする? 菊女はどうする?」

「云うまでもない、しょびいて行け!」

紀州藩士たちは口々に云った。

「いえいえ菊女とやらいうその女は、妾がおあずかりいたしましょう。