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しろうまだけ
白馬岳
木暮 理太郎
「教材講座」1927(昭和2)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,746 字 · 28 页
である。
残雪に因める山名は白馬岳の外にも幾つかある。其中の二、三の例を挙げて見ると、同じ山脈の山に爺岳というのがある。これは晩春になると山体の或部分に笊を手にした種蒔き爺さんの形が黒く雪中に現われ、足もとに二個の大きな種が蒔かれてある。八十八夜頃は殊に明瞭であるという。又山梨県の駒ヶ岳山脈に鳳凰山という有名な山があって、此山にも雪消の頃露出した岩が牛の形を現わす所があるので、一名を農牛山ともいうのである。是等は代馬と同じく孰れも山肌の部分が馬となり、牛となり、或は爺さんとなるのであるが、反対に残雪其物が或る形を現すものとしては常念山脈の山に蝶ヶ岳というのがある。六月中旬頃になると松本平の北端明科あたりから眺めて、長い頂上の左の肩のすぐ下の所に雪が大きな揚羽蝶の形をして残る、つまり白い揚羽蝶である。又赤石山系即ち通称日本南アルプスの白峰山脈の山である農鳥岳は其名の如く春の農作に取り懸る頃、頂上直下に鳥形の残雪が現れるので名高い。会津の飯豊山塊の中の地紙山は、雪が扇の地紙のように消え残る為に其名を得た、然るに地図には之を地神山と書いてあるのは誤っている。