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しろうまだけ
白馬岳
木暮 理太郎
「教材講座」1927(昭和2)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,746 字 · 28 页
白馬温泉
白馬岳の見物も一通り済んだ、いざ下山の途中、白馬温泉に一浴して汗を流すことにしよう。
白馬温泉
白馬温泉は鑓ヶ岳の東の崖側から湧出している。猟師の発見したもので、元は単に岳ノ湯或は鑓の温泉などと呼ばれていたものだが、近頃白馬温泉と改称されたのである。南股の上流湯沢の左岸に在って、海抜七千尺に近い、こんな高い所にある温泉は珍しい。湧出口は大なるものは二ヶ所で、一は上手の岩壁の下から湧き出し、滝となって流下している、それを堰き止めて入浴するのであるから、浴槽も浴室もない全くの野天風呂である、これは少しぬるく少し濁っている。一はそれより下手の温泉の沈澱物が堆積している間から湧き出している、少し熱いが透明である。湧出量は孰れも多い方である。
昔は鑓ヶ岳の南の天狗の小屋場という所から、湯沢の雪渓に出で、困難な下りを続けて漸く達することを得た。南股を遡りて此処に来ることは更に困難であった。今は鑓ヶ岳を南に下った鞍部から直接に此処へ下る道が開かれ、三、四十人は泊れる小屋も出来たので、登山者には便利となった。温泉から猿倉の小屋へ出て四ツ家に行くには半日で充分である。