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しろうまだけ

白馬岳

木暮 理太郎

「教材講座」1927(昭和2)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,746 字 · 28 页

青空文庫

此落合から下は松川と呼ばれ、東に流れて平川と合し、姫川となり、北流して糸魚川町の西で日本海に入る。姫川は巣を作る魚として知られた糸魚を産する為に糸魚川の名がある。南股を遡ること一里許りにして、左の唐松沢と分れ、右に湯沢を上れば、白馬温泉と改称された岳ノ湯を経て鑓ヶ岳に達する。近年新道が作られて此道を通る人は極めて稀であるから、従って道も荒廃している。

釣橋で南股を渡ると其処に営林署の建物があって、登山者は入山許可証を差出すことになっている、この許可証は出発の時に山木で渡して呉れる。これから北股の右岸に沿うて進むのであるが、道が改修されてから昔のように河原や河原近くを通ることは少ないので足の進みも早い。そろそろ喬木帯に入るので木立が茂って深山らしくなる。譲り葉の野生が多いのも見慣れない人には珍らしいであろう。口元の滝ノ沢、奥の滝ノ沢などいう小沢が左手の山腹から瀑となって落下している。此辺には蛇紋岩が多く露出しているように地質図には記してある。

葭原、大平を過ぎて、二股から一里許りの沼池に着く。元来沮洳の地で、水芭蕉や座禅草など生えていたが、今は道が少し上の方へつけ替えられた。