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かがくブームへのくげん

科学ブームへの苦言

中谷 宇吉郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1959(昭和34)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,269 字 · 24 页

青空文庫

動力協定の騒ぎ

また日本からわざわざグリーンランドまで、廃棄物を運ぶのも厄介である。日本としては、将来は、やはり太平洋の深海を選ぶ方が、実際的ではないかと思っている。北海道へ捨てるなどというのは、反対である。

バチスカーフも「廃棄物を捨てるのに反対する有力な立証」など、とんだお土産を残して帰って行ったものである。これは笑い話としてすませてもよい程度の話であるが、その底にあるものが問題なのである。それは放射能に対する過敏症という点である。

原爆の恐ろしさとか、その非人道性とかいう点については、誰も異論はない。ただその点を強調するあまり、原子力そのものを恐れる風潮が漲ることは、日本の将来に、悪い影響を与えるであろう。好むと好まざるとにかかわらず、エネルギー源を原子力に求める、いわゆる原子力時代が、将来にはやってくることは確かである。そのときに、日本がエチオピアになるのは困る。

動力協定の騒ぎ

放射能過敏症は、ジャーナリズムの世界ばかりでなく、政治の面にも、かなり浸み込んでいるように思われる。少し旧い話の方が、毒気が少ないので、やはり昨年の六月の議会の話を例に引こう。

それは原子力発電についてである。