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かがくブームへのくげん
科学ブームへの苦言
中谷 宇吉郎
「文藝春秋」文藝春秋新社、1959(昭和34)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,269 字 · 24 页
放射性廃棄物の処理
放射性廃棄物の処理
六月二十一日の朝日新聞に、あの記事が出た翌日、毎日新聞の『余録』の欄に、この問題が取り上げられた。
「二十日の潜水では、金華山沖で三千メートルの海底に達した。(中略)二十日の潜水では、わずかながらも海底の水が動いていることが確認された。これは実は大きな意義を持っている。
深海の底の水は、動かないものと思われていた。そこで原子炉などから出る放射性廃棄物の捨て場として、この日本海溝が一つの候補地となっていた。しかし水が動くとなれば、話は違ってくる。たとえわずかでも動いていれば、長い年月には、放射性物質が拡がっていくわけだ。廃棄物の中には、半減期が非常に長いものがあるだけに、危険きわまりない。
知らないということはおそろしい、捨ててしまってからでは間に合わない。この調査では、廃棄物を捨てるのに反対する有力な立証が得られた。バチスカーフ号は、日本の救いの神といえるかもしれない」
こういう記事である。一寸読むと、読者の中には、なるほどと思われる方があるかもしれない。しかしこれはまことに妙な話なのである。放射性廃棄物というと、すぐ死の灰を思い出し、まるで、東北地方の海上に、撒き散らすようなつもりで、書かれた文章のようである。