轻松读懂日语经典作品
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こうばいつきげ
紅梅月毛
山本 周五郎
「富士」大日本雄辯會講談社 、1944(昭和19)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,869 字 · 32 页
牡丹でないばかりか、毛並の色も褪せた四尺そこそこの、いやに四肢の骨ばった、なんともみすぼらしい老馬である、しかもほかの十騎が逸物ぞろいなので、そのみじめさは滑稽感をさえ唆った。
「なんだ、妙なものを乗りだしたぞ」そういう囁きがおこり、桟敷のそこ此処に笑いごえがひろがった、「どこの家中だ」「本多どのだそうだ」「どういうつもりだろう」そんな声も耳についた。しかし忠勝ははじめのおどろきが去ると、こんどはなにか急に興味をおぼえだしたようすで、まわりの嘲笑などは耳にもかけず、じっと半之丞の動作を見まもっていた。十一騎は位置についた、騎者はおのおの背に銃を負い、大身の槍をかい込んでいる、やがて合図の太鼓が鳴り響くと、さっと馬場に土煙りが巻きあがった。
井伊家の馬が先を切った、板倉がそれにつぎ、さらに榊原の日根野外記が続いた。半之丞は……かれはしんがりについていた。馬も乗り手も悠々たるもので、いちばんあとからとことこと駆ってゆく、それはまさにとことこという感じだった、疾駆し去る十騎の後塵を浴びながら。……桟敷から幕張りの向うまでどっと哄笑がわきあがった、二代将軍秀忠の顔にも苦笑がうかぶのを忠勝は見た。