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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
僕にはつい遊びに出かけるような処もない。それに雀の巣に燕が顔を出したとしたら、それは闖入者ということになりはしないだろうか。雀の家庭には雀の家風というものがあるのだろうから。そしてそれはやはり尊重しなければならないのだろうから。それでもお伽噺なんかにはよくあるではないか。雀が燕の訪問を歓迎する話が。
その人のためになにかの役に立つということを抜きにして、僕達がお互いに必要とし合う間柄になれたなら、どんなにいいことだろう。
僕の家から最寄りの駅へ行く途中に芋屋がある。芋屋と云っても専門の芋屋ではない。爺さんが買出しに出かけて担いできたやつを、婆さんが釜で焼いて売っているのだ。僕は人に会いたくなると、ときどきそこへ出かけて行く。小さいバラック建ての店の中に、一人腰かけられる位のところに茣蓙が敷いてあって、客が休めるようになっている。お茶の接待もある。気が置けなくて、僕などには行きやすい。僕は行くといつも芋を百匁がとこ食べて、焙じ茶の熱いやつを大きな湯呑にお代りをする。僕のほかに客があることは殆どなく、その小さい店の中にはお婆さんと僕だけで、僕はとてもアット・ホームな気がして、くつろいでしまう。