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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
「ええ、きょうは、なすにきゅうりに白瓜に、人蔘に里芋、……」すると母は、「きゅうりに白瓜に、里芋を、そうさね、一升ももらおうか。」八百屋は注文を取ると、しばらくして品物を運んできた。台所の柱には炭屋や酒屋や八百屋などの通帳が下がっている。八百屋は矢立を取り出すと、通帳にその日の注文の品名を書きつけて帰って行った。
台所には、料理屋や魚屋にあるような大きな冷蔵庫が置いてあった。夏になると、毎日、五十間の通りにあった氷屋が氷を届けにきた。私は冷蔵庫の戸を、まるで金庫の扉をでもあけるようにそっとあけて、中にある桃を盗もうとしては、見つかってよく叱られた。流しには、水道の蛇口の下に、いっぱいに水を満たした桶が置いてあった。夏には、その桶の中に、一升壜に麦湯を入れて冷やした。私はその麦湯が好きだった。私の家はそれほど大人数というわけでもなかったが、四斗樽を糠味噌桶に使っていた。私は母が糠味噌をかきまわしているそばにいて、母がその中から、糠にまみれた茄子や胡瓜や大根を掴み出すのが面白くて、よく見たものだ。私はその現場は見なかったが、あるとき、母が糠味噌をかきまわしていたときに、不意に着物の裾から鼠に躯を這い上がられて驚いたという話を母から聞いたことがある。