轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
私は浅草の千束町通りにあった千束小学校へ通った。その頃廓内から学校通いをするのにはちょっと不便なことがあった。というのは、ちょうどその時刻には検査場裏の裏門も五丁目の非常門も閉まっていたからである。表向き廓外へ出る道は大門口以外にはなかった。昔は大門から一歩でも踏み出すことを「江戸へ行く」と云ったそうで、また仲の町を通行することが既に「道中」であったが、しかし大正の私たちはそんな悠長な真似はしていられなかった。私の家では浅草方面へ出抜ける場合は、京町二丁目のはずれの黒助湯という風呂屋のある露地の突当りに在った小林というしもたやの土間を通り抜けさせてもらっていた。その家はちょうど廓の外郭に沿って流れているお歯ぐろ溝に接していたので、外との往来には便利だったのである。私も通学の際はそこを利用した。朝登校の際にはまだ寝ているらしく戸が閉まっていることもあった。そんなとき私が戸口をことこといわせていると、中からそこの小母さんが「いま、あけてあげますよ。」と云って、やがて戸をあけてくれたりした。長い間には迷惑に思ったこともあったであろう。私の家では月々その家に附届をしていた。