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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
桜の枝を折ると松つぁんに叱られるよ。」
「ううん。紙芝居を見てきた。」
「また悟空に八戒かい?」
「うん。」
その頃廓内に入ってきた辻芸人には、法界節、新内流し、それから宗十郎の声色をよくつかうので評判の飴屋などがいたが、そのほかにこの紙芝居なども子供相手とは云っても、やはり芸人には違いなかろう。それにやることも当世とはだいぶ趣が違っていたし、それを渡世にしていた人の数も、いまに比べるとぐっと少なかったようだから、なにやら箔がつくというものである。揚屋町の角の鯉松という台屋の横手が興行の場所で、二時頃から夕方にかけて催した。狂言は清水というのが西遊記、高島というのが忍術ものをそれぞれ看板にしていたが、清水の方が人気があった。いまのように厚紙に背景、人物、情景等を一枚の絵にしたのとは違って、人物なども幾様にも切り抜いて、おでんのように竹串をさして、人形を操るように器用に動かした。伴奏の楽器も亦いまのようにハモニカなんかではなくて、流しの声色やと同様に銅鑼に拍子木。操る人は舞台の蔭に身を隠していて声だけしか聞えない。口跡もなかなか渋かった。舞台の前に詰めかけて息を凝らしている私たちは、銅鑼がボーンと鳴ると、芝居好きが大薩摩をきくときのように胸をときめかしたものだ。