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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
ちょうど私の家に稽古にきた帰りに通り合わせたのであった。
泥んこになって助ちゃんと私が帰ってきたので、家ではびっくりした。私たちはすぐ湯殿へ廻って躯を洗い、沸いていた湯に入った。私は溝に落ちたときには肝を潰したが、その驚きもしずまると、こうして助ちゃんといっしょに湯に入ったことが珍らしくて、「なかや。おもちゃ箱から椰子の実を持ってきて。」と大きい声で云ったら、なかやの返事はなくて「とぼけちゃいけないよ。」と私を叱る祖母の声が聞えた。椰子の実は祖父と仲のいい友達である京一の水鉄という水菓子屋の主人からもらったもので、私が湯に入るときに弄ぶ玩具の一つであった。私の気持ではそれで助ちゃんをもてなすつもりであった。
助ちゃんは私の背中を流してくれながら、
「清ちゃん。さっきのあの子はどこの子です?」
「あの子って?」
「清ちゃんのことを後から押した子ですよ。」
助ちゃんの云うことがわからないので、
「誰も押しゃあしないよ。」と云ってふりむいたら、そういう私の顔を見て、ふいに助ちゃんは黙ってしまった。
湯から出たら、汚れた二人の着物は既にお糸さんが洗濯して、物干竿に乾してあった。