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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
学校で休み時間に砂場で遊んでいたときに、不意にはじめさんが現れて、
「清ちゃん。ごめんね、ごめんね。」とひどく思いつめた口調で、私の顔を覗き込みながら云った。
「ううん。なんとも思っていないよ。」と云ったら、安心したらしく、いつもの快活な顔つきになって
「ぼくはただ清ちゃんをびっくりさせようと思っただけで、ほんとに落っことすつもりじゃなかったんだよ。」と云った。おそらくそれが真相であろう。押された当人にまるで覚えがなかったのだから。私としても腹の立つわけがなかったのである。
学校から帰ったら、ちょうど助ちゃんが稽古にきていて、離れでお糸さんが洗濯した助ちゃんの着物の綻びを繕っていた。そこにとり纏めてある下着や帯や足袋を見て、私が、
「これ、みんな助ちゃんの?」と訊いたら、お糸さんは、
「そうよ。あの溝の水は臭いわね。いまでも臭いが鼻についているようよ。」と云って、試すように、着物の袖口を鼻さきへ持っていって嗅ぐ真似をした。
「におう?」
「まさか。」
祖父がそばから、
「そうだろう。お歯ぐろ溝と云やあ、名代の溝だからな。それにふだん清やはじめが、たんと小便を仕込んでいるだろうから。