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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页

青空文庫

聴いている方が恥ずかしくなってくるんですから。御隠居さん、なんとかやめさせるわけには行かないでしょうか。お師匠さんの名折れにもなりますし、あたしたちだって外聞が悪いですわ。」

「そうか。そんなにひどいものか。それにしても席でよくやらしておくな。」

「それがよくしたもんで、お客には受けているようなんです。」

「それじゃ結構じゃないか。『ハイカラ壺坂』だろうと、『当世鰻谷』だろうと、客が来て木戸銭が取れれば結構じゃないか。なにも身過ぎ世過ぎだ。」

祖父が取合わないものだから、越春さんもそれきり話をやめた。私はまえにも助ちゃんの悪口を聞いたことがある。助ちゃんが父の許に稽古に来るようになった頃、誰かが助ちゃんのことを「稽古屋ゴロ」と云ったのを耳にして、母に「稽古屋ゴロってなあに?」と訊いたら、「子供はそんなことを知らなくともいい。」と叱られた。父の弟子は多く女弟子であったが、助ちゃんはいちばん新参でそのうえ肝腎の浄瑠璃があまり上手でなかったようだから、誰からも侮られていたようである。いまにして思えば、助ちゃんが祖父の「お得意」であったことを心よからず思っていた者もあったのかも知れない。