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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页

青空文庫

祭の二、三日前に水鉄の主人が祖父の許に来て、仮装行列の話が出た。

「実はおれもその行列に出なきゃならねえ。」と水鉄のおじさんが云った。

「そいつは御苦労だな。大文字屋が長兵衛じゃあ、お前さんはさしずめ白井権八だろう。」

「ひやかしちゃいけねえ。年寄りの冷水だが、仕方がねえ。おれは高野物語だ。」

「高野物語というと、なんだな、石童丸か。お前さんが石童丸になるのか。」

「まさか。茶番じゃあるまいし。おれは苅萱よ。」

「昨日剃ったも今道心というやつか。柄になく信心気を出したもんじゃねえか。」

「なにも信心気でやるわけじゃねえ。いわば勤気よ。お前さんにしろおれにしろ、吉原じゃあ古狸だ。ところで、お前さんに頼みというよりは、清坊に頼みがあるんだが」と水鉄のおじさんはそばにいた私をかえりみて、「どうだろう? 石童丸に清坊を借りたいんだが。」

「お安い御用だが、石童丸にしちゃあ、清は大きかないか。」

「なに清坊は小柄だし、おとなしいし、石童丸は柄だ。それにおれは思い立ったときから石童丸は清坊ときめていたんだ。なあ清坊、お祭りの日にはおじさんと一緒に仲の町を歩いてくれ。べつになにをするわけじゃねえ。