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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
」と思った。自信のあるような、ないような気持であった。私はこれまで男の友達とは幾度か一緒に暮らしたことがあるが、いつも気まずい羽目になってしまったのである。
私はこの武蔵野市に移ってきてから、三年ほどになる。私はある家の離れを借りて暮らしている。母屋の主人というのは年寄の後家さんである。気丈な人で、独りで自炊をして暮らしている。ひとり娘が嫁いだ先には大きい孫があって、たまに孫たちが遊びにくる。
私は散歩の途中、偶然この家の前を通りかかって、軒さきに「貸間あり」の札がさがっているのを見かけ、檜葉の生垣にかこわれているこの家のたたずまいになんとなく気を惹かれたのである。私は案外簡単に借りることが出来た。ひとつは私が勤人でなく、一日中家にいる商売なので、用心がいいと思ったのかも知れない。この離れには、私の前には、この近くの美術学校に通っていた画学生がいたそうである。
私が借りている離れには土間がある。犬を飼おうと思ったとき、その土間のことが私の念頭に浮かんだ。犬は土間に這入ると、喉が乾いていたのだろう、そこにあったバケツの中の水をぴしゃぴしゃ音をさせてさもうまそうに呑んだ。