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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
」と云った。
東京へ帰ると私はすぐにあくせくしはじめた。それは始からわかっていることだった。私が蓄音器商組合の調査部員などという怪しげな職業に就いていた時、突然鳴尾君から電報が来た。新宿駅へ直ぐ来いというのであった。私は自動車で駆けつけた。鳴尾君はれいの贋牧師の扮装で風呂敷包を下げて駅の前に立っていた。私達は近くの喫茶店に入った。鳴尾君が私に風呂敷包を渡して、これから柏木の学友の許にゆかなくてはならない、……そう、ゆくとは云わなかった、なにか用事があるらしく、ゆかなくてはならないと云った時、お巡りさんが入ってきていきなり私達に一寸交番へ来いと云った。なんですかと云うと、なんでもいいから来いと云った。私達は駅前の交番に連れ込まれた。お巡りさんは私達の顔を等分に見て、「君達は何をしていたんだ?」と訊問した。なにもしていない、お茶を呑んで久闊を叙していたところだったと答えると、その風呂敷包を拡げてみろと云った。私はこの時はじめてハハアと合点が入った。このお巡りさんは私が自動車で駆けつけた時から見ていて、それで私達のことをなにか街頭連絡のたぐいに見過ったのに違いないと思った。