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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页

青空文庫

)生来拙いと書いたが、私に自分の拙さについてのどんな自覚があったろう? 己れを知らぬ、現つない、たよりない心の状態に私はいたのだ。入所してから二ヶ月で、私には懲役がようやくつらいものになってきていた、と云うべきであったろう。こんな、つらいものとは知らなかったのだ。――私は未決には一晩寝たきりだった。すぐあくる日刑が即決されて、そこを出た。裁判所からかえった私の話を聞いて、そこに長いこといるのだという同房者が云った。「工場はつらいそうだよ。」それに私が気にかけぬ眼色を見せたので、「いまは興奮してるけど。」と云い、すぐに私がそこを去る時、「大事におしなさい。」と云ってくれた。私には彼の云ったことは耳に疎く、聞き流された。が、いまはそのつらいということが、どんなものだか、わかったのだ。私の気では、よくやる気でいたのだが。私はここの生活には空想を持ったのだが、独居、労働、読書、修身、……そんな望みをかけたのだが。が、そんなものはすぐ砕かれ、私はすぐまいってしまったのだ。(工場を終わって舎房に引き上げてからもやはり仕事をしなければならぬので、それにはがっかりした。