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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
僕はいまひどく惜しい気がしています。……あの本があったらなあ、あの可憐な、慎ましい魂は僕の心を慰め、勇気を与えてくれるであろうに、一刀三礼、僕は心を籠めて訳してゆくものを。最初の一頁はいまでも暗誦しています。アンデルセンはその生涯を綴るに際して、こういう一行からはじめました。
“My life is a lovely story, happy and full of incident.”
「私の生涯はひとつの可憐なお伽噺です、幸福な、そして思い出多い。」
僕の行末がどうなろうと、わずかに彼に倣うことを得、一篇の貧しき自叙伝といくつかの fairly-tale を生涯の終りに遺すことが出来るならば!
医者、牧師、小学校の先生、……思えばいじらしき限りです。僕などが人の為に何を尽せるものですか。僕の心の何処を探ってみても、僕が何かを為たということの証は見出し得ますまい。僕はいままでに何ひとつしたことがないのです。親に傅ずいたこともない。師に仕えたこともない。友のために図ったこともない。手紙ひとつ心を籠めて認めたことはないのです。生来拙いというだけならば、自ら慰めもしようものを、人よ憐れめ、僕には誠がないのです。