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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页

青空文庫

」

「噛みますとも。恐怖から。憎悪から。嫉妬から、愛情から。」

いやに人間臭いことを云うなと私は思った。横眼でれいの「幸福なる四部合奏」の絵を見ながら。

その夜私は夢を見た。

……私が外出から帰ってくると、メリーの小屋の前に、赤犬が立ちはだかっているではないか。見ると、赤犬は私がメリーのために用意しておいた、肉と野菜のまぜめしをがつがつ頬張っている。メリーはと見れば、小屋の奥の方に小さくなっている様子である。私は足音あらく赤犬のそばにつめより、「こら。」と一喝をくらわした。ふしぎなことに、私の口からは「ワン。」という声がもれた。私は自分がいつのまにか一匹の白犬になっていることを確認した。赤犬は私の方をふりむき、私達は互いに睨みあった。私は赤犬の眼を見つめているうちに、なんだか見覚えがあるなと思った。そう思うと同時に、眼前の赤犬の顔のなかから、私の小学校時代のある同級生の顔が二重写しのように見えてきた。あいつだ、と私は唸った。(あいつ。それは私の小学校時代のある同級生である、五年生のときであった。ある日、私が教室でその日文房具屋で買った新しい雑記帳を机から取り出して、いそいそとひろげてみると、自分ではまだなに一つ書いた覚えのないその真新しい頁のはじめに、鉛筆でまるで蜘蛛の巣を見るようにいたずら描きがしてあっ