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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
私はそれを、誰かから聞いたのだろう、しぐれと呼んで、おかずが刺身のときは、いつもそうして食べた。吉原のお祭の晩に、六畳の蔵座敷で、婆やからしぐれ御飯を食べさせてもらったことを憶えている。
小学校の入学式の日には、私の祖母に連れられて行った。帰りに吉原土手の下にあった汁粉屋に寄った。上が畳敷になっている縁台に腰かけて汁粉を食べながら祖母は、兄が入学したときにも、その帰りにはここで汁粉を食べたのだという話をした。私は行灯袴をはいて、兄のお古の鞄を肩に掛けて、赤い色の草履袋を手に提げて学校へ行った。私には鞄がお古であることよりも、草履袋の色が赤いことの方が気になった。最初の授業がある日に、学校へゆく途中私がひとりで仲の町を歩いていると、一人の新入生を交えた二三人連れの顔知りの上級生が通り合わせて、上級生の一人が私の袴の紐に下げてある手拭のうえに書いてある組名を見て、私の組は昼組だと云った。その頃、午前中に授業を受ける者のことを朝組と云い、午後から行く者のことは昼組と云った。上級生からそう云われて私は迷った。そのまま聞かないふりをして学校へ行く勇気は私にはなかった。