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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页
すこししわをよせて。口の中で手紙をよんでいるところへ。来かかりたる女生徒。目は大きやかなれどどこにか愛敬あるが。そっと障子を明けて。
女生徒「服部さん。あなた今日はお帰りにならないの。
服「エエ今この手紙が来まして。今日は帰るなといってきました。
女「そう。にぎやかでいいこと。あの英和字彙があるならお貸し遊ばしてちょうだい。
服「サアサアお持ち遊ばせ。今何かもたせてよこしましたから。マアはいってめし上がっていらっしゃいナ。
女「ありがとう。ではあの斎藤さんもおよび申しましょう。斎藤さん斎藤さん」と隣の部屋の口から呼ぶ。
斎藤「なにー。私は今日ねむくってしょうがないのヨ。そのくせ夕べは八時ごろに講堂でいねむりをして。相沢さんにおこされて。びっくりしてお部屋へかえって。寝巻もきかえないでねてしまった。アー」と大あくびをしながら。バタリと障子をしめて入り来たる。
女「アラ斎藤さん下手の一寸ヨ。
斎「よくってよ。あんまりこもっているから。炭素を追い出してやるんだワ。
女「あんな口のへらないこと。
斎「口はへらなくってもおなかがへってヨ。なにかおしょうばんにあずかりたいこと。