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やぶのうぐいす

藪の鶯

三宅 花圃

「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页

青空文庫

ト咄しながら向うのきしにさしかかれば。こなたにやすめる松島葦男。目早くみとめて。

葦「ねえさんねえさん宮崎さんが。

秀「オヤオヤ。どうも誠にその後はお目にかかりませんで。

宮「ヤアこりゃアいいところでお目にかかって。お二人ぎりかネ。

葦「あの姉があまり内にばかりいますから。すすめて同道いたしました。

宮「ソリャアいいご保養だ。篠原君僕のよくお咄し申した。松島の秀子さんです。お秀さんこの方は久しく洋行をなすって。こんだ技芸士の栄号を得て帰朝なすった。僕の親友で篠原さんとおっしゃるお方です。ちょっとお近づきに」秀子は近くへ進みより。おみしりおかれても口の内。ようようその人をみあぐれば。まゆ秀で鼻高く。口もと尋常にして愛きょうあり。留学をさえしたりとなれば。その学問のほどおしはかられて。いよいよ気高くみゆ。仇心なき身ながらも。その様子の高尚なると。学術のほどのしたわれて。われしらず鼻じろむなるべし。勤もかねて聞き伝え。こうもやなど思いつる予想のほかのおとなしさ。雪のように白き顔少しはじらいて。ほおのあたり淡紅をおびたる。髪は束髪にたばねて。つまはずれの尋常なる衣服は。