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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
岡本綺堂『蜘蛛の夢』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蜘蛛の夢、穴、有喜世新聞の話、恨みの蠑螺、火薬庫、真鬼偽鬼、慈悲心鳥、女侠伝、廿九日の牡丹餅、放し鰻、馬妖記、平造とお鶴。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 页
シナの塚は大きく築き上げるのであるから、柩に土をかけるのを見届けて帰るのがまず普通で、王の仕方に手落ちはなかったが、そうなると更に土工を吟味しなければならない。県令はその当時埋葬に従事した土工らを大勢よび出してみると、いずれも相貌兇悪の徒ばかりだ。かれらの顔をいちいち睨みまわして、県令は大きい声で、貴様たちはけしからん奴らだ、人殺しをしてその儘に済むと思うか、証拠は歴然、隠しても隠しおおせる筈はないぞ、さあまっすぐに白状しろと頭から叱り付けると、土工らは蒼くなってふるえ出した。そうして、相手のいう通り、まっすぐに白状に及んだ。その白状によると、かれらは徹夜で王家の塚の土盛りをしていたところへ、ひとりの旅びとが来かかって松明の火を貸してくれといった。見ると、彼は重そうに銀嚢を背負っているので、土工らは忽ちに悪心を起して、不意に鉄の鋤をふりあげて、かの旅びとをぶち殺してしまって、その銀を山分けにした。死体は王家の柩の上に埋めて、またその上に土を盛り上げたので、爾来数年のあいだ、誰も知らなかったというわけだ。」
「すると、幽霊はその旅びとだね。」と、わたしは言った。