轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
岡本綺堂『蜘蛛の夢』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蜘蛛の夢、穴、有喜世新聞の話、恨みの蠑螺、火薬庫、真鬼偽鬼、慈悲心鳥、女侠伝、廿九日の牡丹餅、放し鰻、馬妖記、平造とお鶴。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 页
穴
一
Y君は語る。
明治十年、西南戦争の頃には、わたしの家は芝の高輪にあった。わたしの家といったところで、わたしはまだ生まれたばかりの赤ん坊であったから何んにも知ろう筈はない。これは後日になって姉の話を聞いたのであるから、多少のすじみちは間違っているかも知れないが、大体の話はまずこうである――。
今日では高輪のあたりも開け切って、ほとんど昔のおもかげを失ってしまったが、江戸の絵図を見ればすぐにわかる通り、江戸時代から明治の初年にかけて高輪や伊皿子の山の手は、一種の寺町といってもいい位に、数多くの寺々がつづいていて、そのあいだに武家屋敷がある。といったら、そのさびしさは大抵想像されるであろう。殊に維新以後はその武家屋敷の取毀されたのもあり、あるいは住む人もない空屋敷となって荒れるがままに捨てて置かれるのもあるという始末で、さらに一層の寂寥を増していた。そういうわけであるから、家賃も無論にやすい。場所によっては無銭同様のところもある。わたしの父もほとんど無銭同様で、泉岳寺に近い古屋敷を買い取った。
その屋敷は旧幕臣の与力が住んでいたもので、建物のほかに五百坪ほどの空地がある。