轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひょうしゃくかんにんき

評釈勘忍記

山本 周五郎

「新読物」公友社、1947(昭和22)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,889 字 · 36 页

青空文庫

「誰が、なにをです」

「其許の組下たちで、水練を師範者なしにやって来たのかと訊くんだ」

「私たちがですか」栄之助はけぶなことを聞くというようにこちらを見た、「――どうしてまたそんなことをお訊きになるんです、私たちは水練なんかやりあしませんしやりたいなんて思ったこともありませんよ、明日から始めるというのは組がしら御自身の話じゃなかったんですか」

「――――」

千蔵は歯をくいしばって勘忍袋の緒を緊めつけた、袋は厭いやをしたり藻掻いたり、痙攣したり縮まったり、ぐっと伸びたり跳ね上ったりした、彼は汗みずくになって格闘した結果ようやくそいつを捻伏せたが、栄之助は不作法にも、「水練組に水泳ぎをやれだなんて妙なことを聞くものだ」こう呟きながら立っていった。千蔵は眼をつぶって歯ぎしりをした、それから思考を転位させるために、「えーと今日は、今日はなにか用事があった筈だが」などと空言を云ってみた。たしか用事はあった。その日は午後からいなり山へいって、伯父の家で宇野又右衛門の二女と会うことになっていた。然し栄之助との問答と勘忍袋との格闘で、疲労困憊した結果まったく忘れてしまったのである。