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あかいカブトムシ

赤いカブトムシ

江戸川 乱歩

「たのしい三年生」講談社、1958(昭和33)年4月~1959(昭和34)年3月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 23,237 字 · 47 页

青空文庫

中カブトムシのほうは、また、セミのぬけがらのように、ごろんところがっています。

十五センチの小カブトムシは、ちょこちょことそのへんをはいまわっていましたが、やがて、ふたりのまえに来ると、またしてもあと足でひょいとたち上がりました。

そして、おなじことをくりかえしたのです。十五センチのカブトムシのおなかに、四センチほどの四かくいあながあいて、そこから、こんどは、ほんものとおなじくらいの大きさのまっかなカブトムシが、ゆかの上にすべり出しました。

ところが、この小さいカブトムシは、十五センチのカブトムシがぬけがらになってころがってしまっても、すこしもうごかないのです。

ゆかにおちたまま、じっとしています。これは、しんでいるのでしょうか。

それにしても、なんてかわいらしく、うつくしいカブトムシなのでしょう。いままでの大カブトムシとちがって、これは、まっかな色がルビーのようで、からだの中まですきとおっています。かわいらしい二つの目は、まるでダイヤのようにかがやいています。

「あっ。」

木村くんが、びっくりするような声をたてました。そのとき、むこうのほらあなの中から、なにか黒いものがはい出してきたからです。