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あかいカブトムシ

赤いカブトムシ

江戸川 乱歩

「たのしい三年生」講談社、1958(昭和33)年4月~1959(昭和34)年3月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 23,237 字 · 47 页

青空文庫

3

そしてそれが、だんだんこちらへ近づいてくるではありませんか。

かいぶつの目です。なにかしらおそろしいものが、こちらへやってくるのです。まるでヤドカリが、かいがらの中からかおを出すように、それが、にゅっとくびを出しました。

「あっ。」

ふたりは、思わず声をたてて、おたがいのからだをだきあいました。

そのからだは、まっかでした。まっかな長い、大きなつの。そのねもとに、ぶきみなとんがった口。二つのぎらぎら光る目。おれまがった六本の長い足……。それは、にんげんほどの大きさの、まっかなカブトムシだったのです。

ああ、ふたりはどうなるのでしょう。

さっき、ひめいをあげたかわいそうな女の子は、いったいどうしたのでしょうか。

3

小林くんと、だんいんの木村くんが、おばけやしきのせいようかんのちかしつで、にんげんほどもある、大きなまっかなカブトムシに出あいました。

ふたりは、ちかしつのすみで、そのおそろしいかいぶつを見つめていました。かいぶつをてらしている二つのかいちゅうでんとうのわが、ぶるぶるふるえています。

キーッ、キーッと、なんともいえないするどい音がしました。