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あかいカブトムシ

赤いカブトムシ

江戸川 乱歩

「たのしい三年生」講談社、1958(昭和33)年4月~1959(昭和34)年3月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 23,237 字 · 47 页

青空文庫

きみが、おれのあとをつけているまに、まほうはかせが、きみのかくした赤いカブトムシを、ちゃんとぬすみ出してしまったのだよ。は、は、は、は……。」

それをきくと、ユウ子ちゃんは、はっとして、まっさおになってしまいました。

そして、ものもいわず、いきなりどこかへかけだしていくのでした。男は、あとを見おくって、にやりとわらいました。

ユウ子ちゃんは、バスにのっておうちへかえると、小さなシャベルをもって、うら口の外のはらっぱへいそぎました。

ひざまでかくれる草をかきわけて、はらっぱのまん中まで行くと、目じるしの石をとりのけて、その下をシャベルでほりかえし、かくしておいたブリキカンをとり出しました。

「まあ、よかった。あの人、うそをついたのだわ。」

かんの中には、赤いカブトムシが、ちゃんとはいっていたではありませんか。

「うふ、ふ、ふ、ふ。こんどは、きみのほうでいっぱいくったね。」

とつぜんうしろから声がして、さっきの男がたっていました。

「まほうはかせが、ぬすみ出したというのはうそさ。まほうはかせは、このわしだよ。あんなことをいって、きみを、ほんとのかくしばしょに来させたのさ。