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てつのしょじょ
鉄の処女
大倉 燁子
「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,706 字 · 42 页
中学を卒業する一年ほど前、当時ジョホールで大農園を経営していた伯父は何年振りかで帰朝いたしました。伯父は実の甥の弟よりも、私の方を大変可愛がってくれまして、どこへ行くにも私を連れて歩きました。遊びを覚えたのはその時が最初でした。しかも指導者は現在の伯父ではありませんか。
私は金が自由になるのと身分があるのとで、どこへ行っても大いにもてました。若様々々と大切にされ、いい気持になって遊び暮らして、果ては外泊する事さえあるようになったんです。厳格な父の手前は母がうまくつくろってくれ、陰になり日向になりしてかばっていてくれるので、父は何も知りませんでした。
中学へ遅れて入学した私と、早く入学した弟とは同級だったのです。
火花を散らすような勉強を強いられる者と、酒色にふけって学校なんかろくすっぽ行かない者とその二人が一緒に一高の試験を受けたわけなんですが、弟が美事に及第して、私が落第したって別に不思議はないはずですのに、私は非常に憤慨して、彼を恨みました。
少しくやけになっている処へ、何も知らない父は弟がよく出来るというので、私よりも次第に彼の方を可愛がるようになり、私の事は懶け者だの、低能だの、と顔を見る度に罵倒するので、我慢しきれなくなって、恰度ジョホールへ帰ろうとしている伯父に従いて、私も南洋へ行ってしまっ