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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
野村胡堂『銭形平次捕物控(五)金の鯉』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、随筆銭形平次。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 页
北町、表町というと、今(昭和七年当時)の赤坂区ですが、昔はこの辺を一円に四ツ谷と言ったもので、江戸の切絵図には、千駄ヶ谷へかけて四ツ谷の部に入っております。
「ところで八、死んだ乳母の倅の『殺され半蔵』というやくざな仲間が、毎晩この辺を飲み廻っているとか言ったな」
「滝三郎が入込んでから、誰もとがめ手がないのと、お袋が死んで少し自棄になったんでしょう。三文賭博を打つ元手のない時は、この辺の飲屋を門並み荒して歩いていますよ」
「そいつを探してみようじゃないか」
「わけはありません」
二人はそれから、二三軒縄暖簾を漁ると、全くわけもなく見付かってしまいました。
当の「殺され半蔵」は、とある飲屋の奥に、樽天神を極め込んで、拳骨に付けた塩を舐めながら、湯呑で熱いのをキューとやっていたのです。
「兄い、好い機嫌だネ」
ガラッ八は横へ廻って、ポンと肩を叩くと、
「何を言やがる、手前が奢った酒じゃあるめえし、好い機嫌だって悪い機嫌だって、文句を言われる覚えはねえ、すっ込んでいやがれ、丸タン棒奴」
どうも恐ろしく悪い口です。
年の頃は二十五六、顔も胸も酒に焼けておりますが、ちょっと苦味走った好い男、水髪の刷毛先を左へ曲げて、人を睨み上げると、少し三白眼になります。