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かみなりもんいほく
雷門以北
久保田 万太郎
「東京日日新聞」1927(昭和2)年6月30日~7月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,839 字 · 44 页
と「第二の浅草」とにかえりつくのである。――改めてわたしはいうだろう、花川戸、山の宿、瓦町から今戸、橋場……「隅田川」のながれに沿ったそれらの町々、馬道の一部から猿若町、聖天町――田町から山谷……「吉原」の廓に近いそれらの町、そこにわたしの「古い浅草」は残っている。田原町、北仲町、馬道の一部……「広小路」一帯のそうした町々、「仲見世」をふくむ「公園」のほとんどすべて、新谷町から千束町象潟町にかけての広い意味での「公園裏」……蔓のように伸び、花びらのように密集したそれらの町々、そこにわたしの「新しい浅草」はうち立てらさた。……「池のまわりの見世物小屋」こそいまのその「新しい浅草」あるいは「これからの浅草」の中心である……
が、「古い浅草」も「新しい浅草」も、芥川氏のいうように、ともに一トたび焦土に化したのである。ともに五年まえみじめな焼野原になったのである。――というのは「古い浅草」も「新しい浅草」も、ともにその焦土のうえに……そのみじめな焼野原のうえによみ返ったそれらである。ふたたび生れいでそれである。――しかも、あとのものにとって、かつてのそのわざわいは何のさまたげにもならなかった。