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かみなりもんいほく

雷門以北

久保田 万太郎

「東京日日新聞」1927(昭和2)年6月30日~7月16日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,839 字 · 44 页

青空文庫

「古い浅草」と「新しい浅草」(二)

――いまでも、おそらくは、そうでないとはいえないであろう……

ところで芥川龍之介氏は「梅、馬、鶯」のある随筆の中でこういっている。『……浅草という言葉は少くとも僕には三通りの観念を与える言葉である。第一に浅草といいさえすれば僕の目の前に現われるのは大きな丹塗の伽藍である。或はあの伽藍を中心にした五重塔や仁王門である。これは今度の震災にも幸と無事に焼残った。今ごろは丹塗の堂の前にも明るい銀杏の黄葉の中に相変らず鳩が何十羽も大まわりに輪を描いていることであろう。第二に僕の思い出すのは池のまわりの見世物小屋である。これは悉く焼け野原になった。第三にみえる浅草はつつましい下町の一部である。花川戸、山谷、駒形、蔵前――その外どこでも差支ない。ただ雨上りの瓦屋根だの火のともらない御神灯だの、花のしぼんだ朝顔の鉢だの……これは亦今度の大地震は一望の焦土に変らせてしまった。』と……

「古い浅草」と「新しい浅草」(二)

「古い浅草」とか「新しい浅草」とか、「いままでの浅草」とか「これからの浅草」とか、いままでわたしのいって来たそれらのいいかたは、畢竟この芥川氏の「第一および第三の浅草」