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かみなりもんいほく
雷門以北
久保田 万太郎
「東京日日新聞」1927(昭和2)年6月30日~7月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,839 字 · 44 页
観音堂附近(二)
は「ハッピー堂」と称する絵葉書屋になった。――その飾り窓の一部にかかげられた「各博覧会賞牌受領」の額をみて立つとき、わたしのうなじにさす夕日の影はいたずらに濃い……
「伊勢勘」で出来るものは「子供だまし」という意味での「大人だまし」である。絵馬だの、豆人形だの、縁喜棚だの、所詮それらは安価な花柳趣味だけのものである。かつての「武蔵屋」のそれが露にめぐまれて咲いた花なら「伊勢勘」のそれはだまされて無理から咲いた「室」の花である。でなければ糊とはさみとによって出来た果敢ない「造花」である。……わたしにいわせれば、畢竟それは「新しい浅草」の膚浅な「殉情主義」の発露に外ならない……
が、一方は衰えて一方はさかえた。――いつのころからか「助六」と称するそれと同じような店まで同じ「仲見世」に出来た……
観音堂附近(二)
だが、「大増」のまえの榎の葉かげが足りなくなっても、絵草紙屋がすくなくなっても、豆屋が減っても、名所焼屋がふえても、「いせ勘」がさかえても、そうして、「高級観音灸効果試験所」の白い手術着の所員がここをせんどのいいたてをしても、大正琴屋のスポオツ刈の店員がわれとわが弾く「六段」