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たましいのあえぎ

魂の喘ぎ

大倉 燁子

「宝石 二巻一〇号」1947(昭和22)年11月、12月合併号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,081 字 · 20 页

青空文庫

欺したのがばれたので耻しいからあんな虚勢を張るのだ、浅間しい女とこっちは蔑視んで帰りました。それは公高が八才の時のことです。

その年の秋、外務省からシャム国へ派遣される夫に従いて私も行きました。帰ってみると僅半年ばかり離れていた間に公高はすっかり変って妙によそよそしい態度をするのです。恰度庭の四阿で友達と遊んでいるのを見たので、お菓子を持って行きましたが、二人は夢中で話していて私の近づくのも気がつかない、聞くともなしに話を聞くと、

『自分の息子を放ったらかして、今頃新婚旅行でもあるまいさ。あのべらぼうに大きな寝観音の背中にはうんと土産物をかくしているそうだ、信託へ持ち込まないうちに盗ってやれ、鼻をあかしてやろうじゃないか、一泡ふくぜ』と憎い口をきいているのです。

『鍵をどうしてあけるの?』と友達が訊く。

『わけなしさ。針金一本でどんな厳重なやつでも開けてみせてやらあ』と威張っている。私は呆れてあとの言葉を聞くのが厭でした。踵を返そうとするその跫音に気がついて、二人はこっちを見ましたが、

『チェッ。噂の主の御来臨だぞ』と低い声で『うんとおだてて嬉しがらせてやれよ』