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たましいのあえぎ

魂の喘ぎ

大倉 燁子

「宝石 二巻一〇号」1947(昭和22)年11月、12月合併号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,081 字 · 20 页

青空文庫

友達はあどけない顔をして私の傍にまいり『僕、小母様を、××宮妃殿下のお忍びかと間違えちゃったあ』と云うのです。××宮妃殿下は有名なお美しいお方であらせられましょう?

公高は私がどんな顔をするかと、じいっと盗み見ているのです。

その頃、女中部屋で頻々と物が紛失する、衣類を始め毎月溜めていた給料をそっくり盗まれた等々の訴えに、執事の注意で一人の小間使に暇をやりました。が私はもしや公高の仕業ではないかと胸を痛めていると、今度は学校から電話です。あまりに欠席がつづくからとの注意、登校していることとばかり思っていたのにどうしたのでしょう。よく調べますと悪友に誘われて途中から外れるらしいのでその母君に私からお頼みに行きますと、意外にも先方では公高に誘われるので大困りだとの事、私は情けなくなりました。しかし、その友達だって何を云っているのかわかりません、公高は私に嘘を云う子ではありませんから――。

誰が何と云おうと私は彼の味方です。母だけはどんな事を人が云おうと公高の方を信じてやります。彼は決して自分から悪い事をするような子ではない、が、意志が少し弱いので、他人の誘惑に勝てないのです。