轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

吉川英治『鳴門秘帖(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鳴門秘帖、鳴門秘帖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 页

青空文庫

不安な、さびしい日が二人に続いた。

けれど、遂に、弦之丞は、帰らなかった。

お綱は憂鬱になった。

「やッぱり私は、あの人に嫌われている……」

万吉は万吉でまた、

「こいつは、目安箱が、悪い方へたたったかな? ……」と考えて、とかく凶事にばかり想像される。

で、焦躁のあまり、かれは今朝早く飛びだして行った。

松平家へ出向いて様子をきき、もし、そこで要領を得ないようなら、代々木荘まで行って、常木鴻山に会い、その後の成行きや、また弦之丞の帰らぬわけを糺してくる、とお綱にいい残した。

すると、午後になって、目明しの万吉。どこで支度をととのえたか、旅合羽に道中差、一文字笠を首にかけて、

「お綱、とうとうお別れだ」

不意に、妙なことをいって、帰ってきた。

しかし、出て行った時の不安な顔とは、ガラリと変って、ばかに元気づいている。そして、遠旅にでも出るように、振分けや畳み桐油紙まで肩に掛け、上がりもしないで、

「常木様に会った話の都合で、急に、おれはこれから、西へ素ッ飛ぶことになった。――だが、お前に断わりなしで出先から立ってしまうのも、あんまり寝覚がよくねえから、ちょッと、お別れをいいに戻ったが……、お綱、ここはなんにもいわないで、お前は一ツ、別に考えなおしてくれ」