轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
う
鵜
山本 周五郎
「講談倶楽部」博文館、1954(昭和29)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,733 字 · 38 页
「わからないわ」
「そんな心配があるのか」
「わからない」ただこは首を振った、「そんな心配はないと思うけれど、でもわからない、ああ、あたしもうなんにもわからないわ」
彼女は両手で顔を押えた。半三郎は彼女の肩へ手をまわし、両の腕で乱暴に抱きよせた。ただこの躯は彼の腕の中で柔らかく、棉の実のように軽かった。ただこはふるえながら、半三郎の胸に凭れて云った。
「ねえ、もう少し待って下さらない、もう少し、――秋になるまで」
「同じことだ」
「もう少し待って下されば、すっかりいいようにしてお逢いしますわ」
「なにを」と半三郎はただこの顔を見た、「なにをいいようにするんだ、云ってごらんただこ、おれたちの邪魔をしているのはどんな事だ」
ただこは彼の胸へ顔を隠した。
「云えないのか、おれにも云えないようなことなのか」と半三郎が云った、「よし、それならなおさらだ、おれはただこ一人が苦労するのを黙って見ているほど温和しい人間じゃあないぜ」
「わかってるわ、あなたにはこわいところがあるわ」
「おれは待つだけ待った、初めて逢ってからまる一と月以上も経つのに、おれはただこのことをまだなにも知らない、もうたくさんだ」