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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
作者――江戸川乱歩氏曰く「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年8月号<br>黄金仮面「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年9月~1931(昭和6)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 143,357 字 · 287 页
相手は四人、こちらは何の武器もない二人だ。絶体絶命である。
明智は波越氏の耳に口を寄せて、慌しく何事か囁いた。そうして賊に向き直ると、
「こちらは武器はないのだ。騒がなくてもいい。僕達をどうしようというのだね」
と声をかけた。
「暫く僕達の隠れ家の客になってほしいのだ。君達が自由に歩き廻っていることは、少々邪魔っけなのでね」
賊がおだやかに答えた。
「それでは、案内して呉れ給え。君達の隠れ家を拝見しよう。僕等はルパン君にも逢い度いのだから」
明智は事もなげに云って、もう歩き出していた。四人の賊は、案外らしく、でもピストルを構えたままあとに従った。
二三歩あるくと、明智の身体が独楽の様にすばやく廻れ右をして、一番先頭にいた賊の手元に飛び込んだ、何をする暇もなかった。アッと思う間に、一挺のピストルが明智の手に移っていた。
「サア、君達の丸が早いか。僕のピストルがこの男を倒すのが早いか」
明智の左手は一人の黄金仮面の片腕をねじ上げていた。ピストルを取られた男だ。
残る三人は同類の命を思って、立ちすくんでしまった。
ジリジリと汗のにじむ睨み合いが続いた。明智のピストルは一人の賊の脇腹に、三人の賊のピストルは、隙もあらばと明智の胸板に狙いを定めて、闇の中に五人の影が化石していた。