輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
線上閱讀中村 清太郎《ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 頁
がらん堂の一隅の挿図
正月半ば頃までは、雪はまだ薄かった。しかし寒気はすこぶる厳しく、例年より暖か目と言われたこの冬も、ここではあらゆる物が、みな凍った。机上の墨やインキはもとより、いま、盆に伏せたばかりの茶碗が、もう取れぬ。湯で顔を洗ってから、階上に戻り、濡らした髪に櫛を入れたら、サラサラと白い粉。おやフケかな――と思えば、何の、髪の水気が雪に化けたので。沢水は、むろん凍結して、懸け樋に水は通わないから、万事氷を溶かして弁じるのだ。したがって、煮炊きにも湯茶にも、しぜん、氷に含まれた草木の葉や実、蘚苔、地衣の類いが煎じ出されて、いやでもそれを服用するわけ。仙骨を養うには、持ってこいの適薬だろう。
晴れたら、思い切って窓をからりと。お山を拝しつつ、私は謹んで筆を執る。ここの富士は、大よそ左右斉整。八字の斜線が、無限を思わす大弧を、冬天へ一気に引き放つ。しかも、正面真一文字に、大沢の大崩壊を曝露し、富士としては優美よりも端巖、むしろ威力に勝り、時に幻怪味さえ帯びる風姿。雪は既に、過半身を飾っているが、岩骨は雪を払ってゴツゴツ裸出し、山肌は荒くかつ堅い。