輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《上杉謙信(うえすぎけんしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 頁

青空文庫

重陽

「はい。ありますとも、なお喰おうとすれば、草の根でも、土でも」

「ウむ、む……」

と、笑み頷いて、

「麓の者共も、みな元気か」

「されば、ひとりだに、退屈しているものはございません。……が、君には、ただおひとりで、何しにお徒歩でございますか」

「わしも、退屈せまい為じゃ。野菊の花を捜しに出た。しかし、この山には、寔に菊が少ないとみゆる」

「ございませぬか」

「……見あたらぬ」

「麓の方で見かけました。採ってまいりましょう」

「そうか。一枝でよい。見当ったら持って来い」

「後刻。自然薯といっしょにお届け仕ります」

「自然薯もくれるか」

「御献上いたしまする」

「折もよし、遠慮せずともらっておこう。野菊の一枝も、待っておるぞ」

謙信は、踵を回すと、またひとりで、山の上の本陣――陣場平とよぶわずかな平地へ向って、ぶらぶらと登って行った。

重陽

朝のうちはあんなにからりとしていた秋の日が、午頃から曇り出して来た。妙高も黒姫も遠い山はみな霧にかくれた。ここ数日来、高原地方の天候は定まらないとみえて、真下の千曲川も彼方の犀川も、甚だしく水かさが増したかに見える。

「もうよろしい。――みなに来いといえ」